エル・ロン・プロイビード 12年(EL RON PROHIBIDO 12years)

300年以上の歴史を持ち、「禁断のラム」という意味も持っているこのお酒は、17世紀スペイン統治下のメキシコから、スペインの甘口ワインがアメリカへ持ち込まれ、荷下ろされ空になった樽に、メキシコ産ラム「チンギリート」が満たされ再び船上へ積まれていました。航海中、海の上で揺れる樽の中、ワインの豊かな風味と独特の芳醇な香りを吸収し、人知れず大変ユニークで、良質なラムへと変化していきました。独特の製法で作られたラムが入って来て、そのラムはあまりの美味しさに、人々を魅了しスペインの酒類経済を脅かしたため、スペイン王によって製造が禁止されてしまいます。こうしてこのラムの製造は、100年以上にわたり秘密裏に行われ、現代までレシピは守られ、受け継がれ続けてきました。

 

エル・ロン・プロイビードの最大の特徴は、ソレラシステムという独特な熟成方法にあります。ソレラシステムとは、シェリー酒の製造で用いられる伝統的な熟成方法で、複数の樽を積み重ね、下の樽から順にラムを抜き出して、上の樽から新しいラムを補充していくというシステムです。

この熟成方法により、異なる熟成期間のラムが混ざり合い、複雑で奥深い味わいが生まれます。更に平均12年間もの歳月をかけて熟成され、その間に樽の木材からバニラやスパイスなどの香りが移り、ラム本来の風味と見事に調和していきます。

 

熟成に使用されている樽は、アメリカンオーク樽を使用しており、このアメリカンオークにはタンニン成分が少なめで、バニラ香のもととなるオークラクトンという成分が多めであり、アメリカンオークの樽で熟成させたお酒は、樽の作用によるバニラやココナッツ、タバコなどの香りが強くつきやすいと言われています。

 

エル・ロン・プロイビードには甘口の酒精強化ワインを、一年間寝かせたアメリカンオーク樽を使用しているので、上品さと奥深い味わいが生まれています。更に、平均12年という長い熟成期間をかける事によって、よりまろやかで複雑みのある風味に仕上がっています。

 

こうして遥か昔から受け継がれ、レシピを守り続けて作られたほのかに感じるハーブやバジルの風味が、味わいに深みを与え、熟したドライフルーツとレーズンのような甘さが口に広がります。それに加え、ナッツやチョコレート、バニラのリッチな香りと、少し苦味のあるカラメルのビターが口いっぱいに包み込んでくれます。口当たりもとても滑らかで、心地の良い飲み口になっています。余韻も長く豊かな風味を、最後までしっかり味わうことができます。歴史も味わいも想像以上に奥深いこの素晴らしい1本を是非、お楽しみくださいませ。