本坊酒造は1872年に鹿児島で創業した酒造メーカーで、マルス信州蒸留所はこの会社が所有する蒸留所です。創業当時は焼酎の製造をメインとしており、1949年にウイスキーの生産を始めました。
高度経済成長期がはじまる1950年代には、日本にもウイスキー文化が定着し始め、1980年代になると少量生産を行う「地ウイスキー」ブームが起こり、本坊酒造はブームの火付け役となっていきます。
1985年には「いつか日本の風土を生かした本物のウイスキーを造りたい」という夢を実現するため、長野県にマルス信州蒸留所を建設します。
マルスのウイスキー造りに欠かせないのが、1945年に本坊酒造の顧問に就任した岩井喜一郎です。国産ウイスキーの生みの親として有名な“マッサン”こと竹鶴政孝の元上司にあたり、竹鶴にスコットランド行きを後押しした人物と言われています。竹鶴がスコットランドで学んだウイスキー造りの手法をまとめた「竹鶴ノート」は岩井の元に渡り、そのノートを参考にしてマルスウイスキーを作りました。
マルス信州蒸留所のテロワールにおける特徴は、長野県の中央アルプス駒ヶ岳山麓標高798mにある点です。標高の高さゆえに、軽い減圧蒸留になっていると言えます。減圧蒸留とは、気圧が下がることで素材の沸点が下がり、より低い温度でアルコール蒸留ができるようになるので、温度上昇による風味の変化を減らすことができ、常圧蒸留に比べて風味豊かな原酒を蒸留する技術のことです。
信州マルス蒸留所は長野県宮田村の大田切川沿いに作られており、まさに風光明媚、清澄な空気と豊かな水源に囲まれ、ウイスキー製造にはもってこいの場所です。
マルスモルテージは、マルス信州蒸留所でしか販売していない蒸留所限定ボトルで、ブレンデッドモルト。
甘い印象の香りでアルコールの強みは感じさせず、柔らかなバニラのアロマが包み込みます。是非お楽しみ下さい。