ボウモア15年 シェリーカスクは「15年 ダーケスト」の後継品で、2017年にラベルチェンジされて新しく登場したものがこのボトルになります。バーボン樽で12年間熟成された原酒を、オロロソ・シェリー樽でさらに3年間熟成させることで、ウッディーで甘やかな味わいを醸し出しています。ダークチョコレートを思わせる香りとボウモアの特徴であるスモーキーな香りがバランスよく、口中に広がります。味わいはウッディー、はちみつ、燻製したナッツ、フィニッシュは、力強く長くあたたかで、かすかにシェリーのタンニンを感じさせてくれます。
このシェリーカスクだけに限らずボウモア蒸留所で作られるボウモアと他のウイスキーの違いは、熟成の段階で潮風に晒されている点にあります。
樽は、海抜0メートルと海のすぐそばに位置している貯蔵庫に保管されており、その中で熟成しているウイスキーも潮風の影響を大きく受けることになります。それが、ボウモアの独特な香り、そして味わいを作り上げる大事な要因のひとつとなります。ちなみにボウモアとはゲール語で「大きな岩礁」のこと。まさに熟成する場所を表して名付けられていると考えられます。
ボウモア蒸留所はアイラ島で唯一、エリザベス2世女王が訪れたことのある歴史ある蒸溜所であり、その際には特別なウイスキー樽が作られ今でも倉庫に飾られていると伝えられています。ボウモア蒸溜所はアイラ島で最も古い蒸留所で、創業したのは18世紀の終わり頃1779年です。現存するスコッチウイスキーの蒸留所の中でもグレンタレット蒸留所に次いで2番目に古い蒸留所になります。古く長い歴史があり、創業以来さまざまなオーナーのもとで、スコッチウイスキーの伝統と製法を守り続けてきました。1994年からは、サントリー(ビーム サントリー)の傘下に入り、高品質のアイラモルトを生産し続けています。
また、ボウモア蒸留所では未だに昔ながらのフロアモルティングという、床の上で大麦を発芽させる伝統技法を行っています。 その際、大麦がある程度発芽したら芽の成長を止める為に、ピートを焚きその熱で大麦を乾燥させます。 ピートを焚いて乾燥した麦芽は粉砕されステンレス製のマッシュタンに入れ温められた仕込み水と混ぜ合わせ時間をかけて濾過し、麦汁を絞り出します。 絞り出された麦汁はオレゴンパイン材の発酵槽に入れられ48~62時間かけて発酵させていきます。
こうして作られたボウモア15年シェリーカスクは、アイラモルト特有のヨードやピートの主張は強くはなく熟した果実を味わうようなそんな優雅で趣ある味わい深いものになっています。「アイラの女王」の名にふさわしい仕上がりを是非一度お試しくださいませ。