ブランデーとホワイトキュラソーの柔らかな甘みと、レモンジュースのキレのある酸味が合わさった絶妙なバランスで不動の人気を誇るサイドカーは、20世紀初頭に誕生した非常に有名なクラシックカクテルです。
禁酒法時代以前のクラシックカクテルは、共通してその発祥が諸説あり、どの説も信憑性に欠けていることが多いです。サイドカーもその一つですが、いくつかご紹介します。
まず日本でよく聞くのが、第一次世界大戦中にとある将校が軍用バイクのサイドカーに乗って戦場から退却する際に、恐怖心を紛らわせるためにコニャックにレモンジュースを混ぜて飲んだという説です。
他にも、パリに現存するバー「ハリーズ・ニューヨーク・バー」の経営者、ハリー・マッケルホーン氏が、いつもサイドカー付きのオートバイに乗ってくる常連客のために考案したという説などがあります。
しかし、ハリー・マッケルホーン氏が自身の著書「ABC Of Mixing Cocktails」の初版本(1919年刊)にて、サイドカーの項目で「ロンドンのバックス・クラブのバーテンダー、パット・マクギャリー氏作」という記載がある為、これが現状最も説得力がある説かと思われます。とは言え「ハリーズ・ニューヨーク・バー」がサイドカーを世に広めた功労者であることは事実であり、実際に今でも看板メニューとして人気を集めています。
“いつもふたりで”とロマンチックなカクテル言葉を持つサイドカー
鮮やかな橙色に柑橘の爽やかな香りをその手に、ぜひ大切な方と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。