イチローズモルトが造られている秩父蒸留所は2008年2月に稼働した、小規模ディスティラリーです。創業者の肥土伊知郎氏はジャパニーズウイスキーであることに誇りを持ち、小さなミル、マッシュタン、ミズナラ製の発酵槽、スコットランド・フォーサイス社製のポットスチルで手づくりに拘りモルトウイスキーを生産しています。2019年秋には第2蒸留所が稼働しており、生産量は第1蒸留所のなんと5倍。ポットスチルの形は同じストレート型ですが、かなり大きなポットスチルでフォーサイス社製のガス直火蒸留機を使用しています。
秩父蒸留所周辺は、自然豊かで空気がきれいで質の良い水、夏は高温多湿、朝晩が氷点下にいたる寒さの厳しい環境です。その厳しい気候が織り成す寒暖差がウイスキーの熟成に多大な影響を与え、短い熟成期間にも関わらずフルーティでバランスの取れたウイスキーに仕上がります。
定番品といえるリーフシリーズ「ミズナラウッドリザーブ・ワインウッドリザーブ・ダブルディスティラリーズ」が絶大な人気でウイスキーファンを虜にしています。ラベルはジャパニーズオークの“ミズナラ”の木の「リーフ=葉」をイメージしています。
今回ご紹介するウイスキーは、このシリーズの中の1つで、2000年に閉鎖した羽生蒸留所の原酒と秩父蒸留所の原酒をヴァッティングさせた、ダブルディスティラリーズです。
羽生蒸留所は埼玉県羽生市で1946年から2000年まで稼働していた蒸留所で、現在は閉鎖蒸留所となっているため、単体で口にすることは困難になってしまいました。パンチョン樽を主体としたシェリー樽で熟成されたウイスキーで、所有していたのは東亜酒造株式会社です。また、肥土伊知郎氏の祖父により操業が開始された蒸留所でもあります。
秩父蒸留所のモルト原酒はミズナラ樽を使用しています。ミズナラ樽ならではのオリエンタルなフレーバーが、羽生蒸留所原酒のスイートなニュアンスが絶妙なハーモニーを奏でています。
「ウイスキーマガジン」が主催するワールド・ウイスキー・アワード2009(WWA)で“ベスト・ジャパニーズ・ブレンデッドモルト”に輝いた逸品であるイチローズモルト ダブルディスティラリーズ。
店頭に並べば即日売り切れてしまうほどの人気で入手困難なウイスキーです。是非ご賞味ください。