東京の信濃屋がプライベートボトリングを開始して10年を記念して、昨年限定販売された10th ANNIVERSARY BOTTLINGシリーズの第7弾です。
シリーズ第7弾の原酒に選ばれたのは、1985年に長野県駒ケ岳山麓の標高約800mの場所に建てられ、日本で最も高地にある蒸留所としても知られる『マルス信州蒸留所』の駒ヶ岳。
蒸留所長と信濃屋スピリッツバイヤーとのタッグで選ばれたのは1988年蒸留の29年熟成原酒。
同蒸留所は、1992年から2011年まで約19年間の一時蒸留休止という苦難の時代がありました。このボトルは、その休止以前に生まれ苦難の時代を乗り越えた大変希少な原酒です。
竹鶴正孝氏の先輩であり上司であった岩井喜一郎氏が半世紀以上前に手掛けたポットスチルで生み出された、失われゆく味わい。(再稼動後の2014年に蒸留器の交換が行われた為)
スコッチウイスキーの熟成に用いられたアメリカンオーク樽で熟成された原酒で、アメリカンオーク樽熟成由来のフルーティーで甘美な香り、長期熟成由来の妖艶で複雑な味わいが長所としてはっきりと感じられます。
ラベルには、信州の伝統と文化を発信するべく、葛飾北斎が信州で手掛けた東町祭屋台天井絵「龍図」が採用されており、バックバーにおいても異彩を放ちます。
今のウイスキーブームより遥か以前に、ジャパニーズウイスキーの歴史を愚直に築き上げた先人たちの思いは確かな形として現在に息づいています。
至高の味わいをどうぞお愉しみください。